原文/ジョン・アイガード(John Aegard)http://john.aegard.com/
翻訳/ぴろき
私は短編小説が専門なので、コンベンションで『ダンジョン・ワールド』をプレイするときは、シンプルで伝統的なファンタジー冒険小説のようなゲームにしたいと思っています。つまり、登場人物がどこかに旅して、何かをして、終わるころにはすべてが変わってしまっている、というお話です。
また、事前の準備も一切したくありません。舞台やシナリオ、シチュエーションを決めてから参加するのは嫌なんです。ひとつには、それは面倒くさいし、私は怠け者だから。ふたつには、"私"が作った物語を語るのではなく、"私たち"が作った物語をつくる手助けをしたいからです。全員からアイデアを出してもらって、それを物語に編み込みたいのです。自分のアイデアを出すために、自分のキャラクターというほんの狭い開口部だけしか使ってはいけないわけがありません。私たちのゲームなのですから、それ肝心かなめの内容は、すべて今そこにある卓の上で起こってほしいのです。
私はこの目標を達成するために、いくつかのテクニックを編み出しました。もしあなたがきっちりとした『ダンジョン・ワールド』の単発ゲームをプレイしたいのであれば、こうした技はきっと役に立つことでしょう。
私の経験では、これらのテクニックがうまく機能するプレイヤー人数はぎりぎり5人までです。ただし5人だと、特に戦闘中にそれぞれが脚光を浴びる時間がかなり少なくなってしまいます。なので、3〜4人が最適な人数だと思います。
この4時間の中で、達成したい目標は以下の通りです。
0:00 導入。卓の安全対策(*)やRPGについて話す。キャラクター作成を開始する。
0:30 キャラクター、舞台、前提事項が固まる。最初の遭遇を開始する。
2:15 最初と2番目のシーンが終了、15分間でレベルアップと休憩を行う。
2:30 ラストシーン開始。
3:45 ラストシーンが終わり、プレイヤーと感想を話し合い、皆がプレイしてくれたことに感謝する。
以下は私がゲームと私の考え方を紹介するために使っている宣伝文句です。
「『ダンジョン・ワールド』は冒険ファンタジーのゲームです。あなたたちは危険な世界で冒険者を演じることになります。栄光のため、利益のため、善悪のため、あるいは仲間へのまごころから戦うことになるかもしれません。それをこの卓の中で決め、その決断を軸に冒険が展開されるのです。
冒険者一行の成り立ちはプレイされません。全員がお互いを知っていて、同じ目的地に向かって一緒に旅をするところから始めます。たがいの人間関係のあり方や旅の具体的な内容は、キャラクターを作った後に考えます。
今日の私の目標は、『ダンジョン・ワールド』を使って、一人では作れないようなカッコイイものをみんなで力を合わせて作ることです。」
プレイヤーはプレイブックを選択し、手順通りにすべてを記入しますが、縁故だけは後にとっておきます。プレイヤーに順番にキャラクターを自己紹介させるのはやめましょう。キャラクターと物語との関係が明らかになるにしたがって、彼らがどういう人物なのかもわかってくるからです。「付録D:キャラクター作成中によくある混乱」も参照してください。
私は地図が好きです。しっかりした地図ではありませんが、私たちの舞台を決める土台となり、すてきな落書きをするネタにもなります。ここで言っている地図とは、インデックス・カードを皆からよく見えるところに並べたものを指します。
さて、質疑応答が進むにつれて、いろんな場所が登場します。それらを1枚1枚カードに書きとめて、「地図」に追加していくのです。また、NPCや前提事項が追加されたら、それらがどこに住んでいるのか、あるいはどこにあるのかがわかるようにしましょう。その位置を示す場所カードを追加するのです。
カードでできた地図はとても自由度が高く、「空白を残して地図を描ける」メリットを存分に味わうことができます。プレイ中に2つの場所の間に新しい場所を追加したい場合、その2つの場所の間にカードを挿入すればいいのです。右図のゲームマップでは、プレイの途中で燃え上がるエリア(BURN ZONE)が登場したので、そういカードを挿入しただけです。
これはプレイ前で最も重要なステップであり、ここで私たちは舞台、前提事項、そして縁故を生み出し、見知らぬ5人を「ボルトロン」(訳注:アニメ「百獣王ゴライオン」の海外版)のチームのようにしたてあげるというわけです。。
超重要なポイントです。すべての質問は特定のプレイヤー1人だけに向けられたものです。卓全員に対する質問ではありません。卓全体に質問してしまうと、声の大きい人ばかりがアイデアを出すことになってしまうでしょう。質疑応答は平等に! 質問がテーブルの全員に均等に行き渡るようにしましょう。
GMが質疑応答をリードしますが、卓の参加者なら誰でも好きなように質問をぶつけてもらってまったく構いません。
クラスによっては、キャラクター作成の際に、バーバリアンは欲求、バードは専門分野、ウィザードは呪文をリストから選択することができます。何を選択したのかが物語に直接反映されたら、パワフルですし、没入感は半端ないでしょう! ですから、質問するときに、そうした選択の内容をからめるチャンスは逃さないようにしましょう。
一つのトピックについて複数の質問を行うことで、舞台に彩りを与え、PCに異なる(そしておそらくは矛盾する)ゴールを作り出しましょう。映画「羅生門」のように、同じ全体を、人それぞれで別々の見方や知り方をしているのだと考えてみてください。
前提事項が明確になり、すべてのキャラクターがそのうちの少なくとも1つと関係を持つまで、質問を続けましょう。
あなたがゲームに盛り込みたい虚構の要素を確実に打ち込むために質問するのは、まったくもって当然のことです。例えば、キメラ=ヒドラ(詳しくは後述)をボス・モンスターとして使いたい場合、こいつにかかわる質問をするのです。「ファイター、なぜ凶暴なキメラ=ヒドラに立ち向かうのですか?」というようにね。もっとも、ゲームを独り占めするつもりはないので、1回のゲームでこの手の質問をするのは一人1回にとどめておくとよいでしょう。
プレイヤーに縁故の項目を見るように求めます。縁故のルールを説明し、すべての縁故を記入する必要はないし、自由に縁故を考案してよいことをちゃんと理解してもらってください。
縁故の選択肢を読む時間を与えた後、質疑応答をかわしながら一緒にシナリオを作っていくのだということを伝えてください。質疑応答していく中でもし縁故のアイデアが浮かんだら、いったんストップして縁故の内容を皆に伝えるように言いましょう。こうすることで、会話が弾み、縁故の応酬がうながされるのです。そうした会話が一段落したら、改めて質疑応答を続行します。
舞台のベースラインを押さえるために、これらの質問を一つしてください。私は、ドルイド、レンジャー、バーバリアンなど、本質的に「場所」を示唆するプレイブックにこういった質問を向けるのが好きです。
以下は例です。
また、舞台を深めるために、次のような質問をすることもできます。
「前提事項」とは、「キャラクターが何をしているのか、そしてそれはなぜなのか」という意味です。前提事項作りは、この準備の中で最も肝心な部分です。
最初の前提事項を決めたときに、それを割り当てたスペースが最終目的地となります。別の前提事項を決定する場合は、最終目的地に必ずからめるようにしてください。
ここでは、前提事項を決定するための基本的な質問をいくつか紹介します。
前提事項を決めたら、今度はキャラクター全員をそこにからめていきます。2人のキャラクターと前提事項の間に三角関係を描く、典型的な『アポカリプス・ワールド』(訳注:『ダンジョン・ワールド』の元になった近未来ゲーム)のGMテクニックを用いることになります。
プレイヤー・前提事項・プレイヤーで形づくる三角関係で、キャラクターに緊張感のある人間関係を与えることができます。例えば、
また、三角関係を使って、キャラクターの目標を互いに補完させることもできます。例えば、
さあ、邪悪なGMの帽子をかぶって、前提事項を考えてみましょう。キャラクターが介入しなければ何が起こるのでしょうか? ちょうどフロントの「差し迫った破滅」を作るように考えてみてください。もし何も思いつかなければ、ただ質問すればいいのです。
「<パラディン>、なぜ大魔導士ドアーヴァから"上級召喚の書"を奪おうとしているのですか?なぜ彼に持たせておいてはいけないのですか? 彼はそれを使って何をするつもりなのですか?」
というように。
誰かがこの世を去るときは、ルール通りに《死に際》ムーヴで振ってもらいます。7-9の結果が出た場合、死神は取引を申し出ます。もし瀕死のキャラクターが「差し迫った破滅」を実現すると誓ったら、死神は解放してくれるでしょう! 2-6の結果も7-9の結果と同じように処理してはどうでしょうか。こうした取引はとても楽しいものです。
また、「差し迫った破滅」はいつでも心にとめておいてください。いつでも《脅威が迫りつつある兆候を示す》や《歓迎されざる真実を明らかにする》ムーヴで場を揺るがすチャンスを逃さないように!
以下の質問をいくつか行って、敵についてのアイデアを得ましょう。
もしかしたら、パーティに縁故を選ぶように誘導する必要があるかもしれません。その場合は、基本的な縁故に直接まつわるこれらの質問を使用してください。
<クレリック>、ここで善良で忠実な人として信頼できるのは誰ですか? それはどうしてですか?
<ドルイド>、ここで土地の秘密の儀式を共有したことがあるのは誰ですか? なぜ信頼したのですか?
<ファイター>、ここで誰を守ることを誓いましたか?
<パラディン>、ここで誰と一緒に戦いましたか?
<レンジャー>、ここで誰をかつて案内したことがありますか?
<シーフ>、あなたについて不利な情報を知っているのは誰ですか? そして<他のプレイヤー>、あなたは実際に何を知っていますか?
<ウィザード>、ここで、これから起こる出来事で重要な役割を果たすのは誰でしょう?
そして、別の縁故を生み出す可能性のある質問を紹介します。
<バード>、ここにいる人のうち、以前聞いたことがあるのは誰ですか? 彼らについて何を聞いたことがありますか?
<クレリック>、かつてあなたが治癒を拒んだのは誰ですか? それはなぜですか?
<ウィザード>、この中の誰に実験をしかけているのですか? 彼らに何をしたのですか?
《援助/妨害》時は、通常通りダイスの出目に縁故を加えます。対象への縁故がないなら、何も加えずダイス・ロールしてください。その結果、対象のムーヴに修正が加えられたなら、そのムーヴの成り行きに由来する形で、対象への縁故を書きましょう(訳注:クラスの縁故総数に余裕がある場合)。
さて、キャラクターと舞台、そしていくつかの前提事項が揃いました。さあ、いよいよダイスを振る時間です。以下は"キックオフ"のために私が使っている台本です。
「『ダンジョン・ワールド』は私たち全員の会話で進みます。その会話の中で時折、ルールを使ったり、ダイスを振ったりするきっかけになることが起こります。はじめは私がどのムーヴが発動したかを告げますが、ルールに慣れてきたら自由にムーヴを告げてもらってかまいません。」
最終目的地から1〜2枚離れた場所からパーティを出発させます。開幕したら、一行はもうモンスターたちの目と鼻の先にいます。つまり、パーティがはじめてモンスターと遭遇した瞬間からスタートするのです。ただし、すぐに戦闘開始とはせず、プレイヤーに《交渉》ムーヴや《事実の識別》ムーヴをうまく使って戦闘を切り抜ける機会を与えましょう。詳しくは後述します。
周囲の環境とモンスターについて説明し、「あなたはどうしますか」と質問します。
モンスターがなぜそこにいるのかをしっかり把握しておいてください。それは質疑応答で明らかにされた何かと関連しているはずです。もしかしたら、パーティと戦うために送り込まれたラスボスの手先かもしれませんし、パーティと同じ目標をねらう競争相手かもしれません。
もし皆が敵についてのアイデアを提供してくれたのなら、ぜひそのアイデアにしたがってモンスターを作ってください。
私のやり方は、最初の出会いに、HP4、[アーマー0]、ダメージD6で、ちょっと面白い攻撃方法と、戦場が固定化しすぎないような移動方法を持った、やや危険で小柄な6〜10体のモブを配置するというものです。
私のお勧めの導入用モンスターは、絡め取る技を持つ何か……網、鞭、先端の尖った舌など……です。私はヒキガエルの舌を持つヒキガエル教団の信者、糸巻き状の突起を持つクモ教団の信者、鞭を持ったジャッカル頭のアヌビス教徒を使ったことがあります。また、翼やジャンプ、穴掘り、泳ぐといった能力も持たせることもあります。
オーク、ゴブリン、コボルドといったおなじみで見飽きた古いモンスターは使わないでください。このことは超重要です! パーティが今戦っているものに対して好奇心を抱き、質問をして、《物言う知見》、《事実の識別》、《吟遊詩人の伝承知識》などの知識収集用のムーヴを発動して欲しいのです。
プレイヤーにはこういったムーヴを発動してほしいのです。なぜなら、それぞれが好奇心の発露であり、ひとつひとつが熱意の表れであり、その熱意に報い、応えたいと思うにちがいないからです。それぞれの知識ムーヴは、卓の皆が物語の筋書きや舞台を明らかにするチャンスでもあります。そして(注目!)知識ムーヴは、遭遇を未然に防ぐために使うことができるので、つまらないヒット・ポイントの削り合いを防ぐ最高の方法なのです(ヒット・ポイントの削り合いについての説明は付録Cを参照のこと)。
できるだけ早い段階で、その威力を発揮するチャンスを見つけましょう。知識系ムーヴの結果が7-9であっても、はっきりと役に立つことを伝えるのです。あなたの答によってその遭遇の決着をつける作戦が明らかになるようにしましょう。
最近のゲーム大会で現れた例:1)パラディンの聖なるシンボルこそが湖のグールを騒がせている品物なので、パーティがそれを海に捨てればアンデッドどもはそれを追って水没するでしょう。2)砂漠のジャッカル族は群のカシラに従います。カシラを倒せば新たなカシラになれるでしょう。
《交渉》のような社交系のムーヴにも、同様の敬意を払いましょう。パーティが力を発揮できるようにすることに細心の注意を払う一方で、素晴らしい出目一発が遭遇を決着させてもまったくかまいません。
また、刃傷沙汰になった場合は、《ハック・アンド・スラッシュ》や《射撃》の記述には、1回のロールが1つのターゲットにしか命中しないなどとはまったく書かれていないことに注意を促してください。バーバリアンとファイターは、こうしたザコどものまっただなかに突っ込んで無双をキメるべきなのです! レンジャーなら、そいつらをまるで干し草のようになぎ倒すことができるでしょう。
さて、最初の遭遇は終わりました。これからパーティがどうやって最終目的地に向かうかを考えましょう。現在地と最終目的地の間に場所カードを3枚並べます。これらの場所については、質疑応答から何か着想を得るようにしましょう。レンジャーがいくつかの山を旅してきたと言ったかもしれませんし、シーフが下水道経由の秘密の入り口について言及したかもしれません。
これらの新しい場所のいずれかを経由して、最終目的地に移動できることを伝えます。
一行が選択をしたら、まさに空想のパワーそのものであるような、通り一遍ではないモンスターをぶつけましょう。私のお気に入りは、バジリスクやメデューサのような石化モンスターを使うことです。これらは単純に戦うだけではダメなことで悪名高い敵で、裏をかき、出し抜くことが必要になるからです。
また、身体の一部だけの石化をプレイヤーキャラクターに課すのも楽しいもので、私ならまず目、鼻、髪を石化します。自己犠牲の精神に富んだパラディンなら《レイ・オン・ハンズ》で自分の高潔さを示そうとするでしょうし、ウィザードが石化防止の儀式を即興で作ったりするかもしれませんね。
2番目のシーンでは、他にもいろいろなことが考えられます。森で迷子にさせる、砂漠で風雨にさらすなど、彼らが選んだ道にふさわしい場所系のムーヴを仕掛けることを意識してみてはいかがでしょうか。また、最後の戦いで助けとなる協力者や支援を与えることもできます……彼らが勧誘できる兵士がたくさんいる反乱軍のキャンプ、役に立つことを知っている旅の魔法使い、地図や合言葉を知る不満な下僕などなど。
『ダンジョン・ワールド』のレベルアップは楽しくて簡単です。ドルイドの《四大精霊の支配》、パラディンの《流血の庇護》、ウィザードの《論理的》は必見です。《論理的》はウィザードを戦術の天才に変えます。《流血の庇護》はパラディンを無敵にします。《四大精霊の支配》は、私がこの本で見つけた中で最も厄介なパワーです。
ほとんどのプレイヤーは10分かそこらでレベルアップできます(呪文使いやマルチクラス・ムーヴを使うプレイヤーはもう少しかかるかもしれません。)
さあ、いよいよクライマックスです。一般的には、質疑応答から着想を得た巨大なボス・モンスターを登場させることが多いですね。
今までで一番好きなラスボス・モンスターは、キメラ=ヒドラと呼んでいる、6つの頭を持つ再生する獣です。6体のモンスターのように戦う1体の巨大なモンスターであり、その上に登ったり下をくぐりぬけたり、6つの首のどれかにしがみついたり、6つの頭のどれかの前にいたり、6つの顎のどれかに巻き込まれたりと、かかわりあえる面がたくさんあるところが気に入っています。また、頭は手ごわいけれども、体は柔らかいので、大胆な挑戦が報われる相手でもあります。
どういったモンスターを使うにせよ、遭遇する場所には面白い地形を配置しましょう。特にボス・モンスターの攻撃を妨げないような高台はいつでも活躍します。溺れる用の水や燃える用の火を設置しましょう。観客でいっぱいの劇場/コロシアム/観覧席も良い追加要素です。剣闘士にとって、酔っ払ったカエル商人からの嘲笑ほど腹に据えかねるものはありません。観客が腐ったトマトやレンガを投げてきて、1d4/目つぶしダメージを与えるのもいいかもしれません。
大決戦が繰り広げられている間にも、盗まなければならない品物、救出しなければならない王子、行うべき儀式など、対処しなければならないと前提事項で決まっている事柄があるでしょう。これらにキャラクターの目を向けさせましょう。自分たちが本当に望むものが何かを考えさせるために、見せ場を作ってあげるのです。パーティーの利益よりも自分の利益を優先させるように誘惑しましょう。
もちろん、彼らが死地に赴く気になるような、強烈な演出をするのが大切です。
そして、戦いが終わったら、前提事項によって互いにからみあっているいざこざをパーティ内で解決することになります。私の経験上、利害の対立がある場合、ここが一番エネルギーを使う部分です。ここではプレイヤー対プレイヤーの戦いは無縁なものではありません。腰を据えて、あなたが編み出した物語を楽しんでください。
さて、ゲームもいよいよ大詰め、事態は解決です。最も劇的なことが起こったキャラクターを最後に、卓を一巡りします。各プレイヤーに順番に、冒険のあとの人生を描いた短いエピローグをナレーションしてもらいましょう。私はエピローグが大好きです。プレイヤーが少し一人きりになって、警戒心を解き、GMが干渉できない純粋な物語を語る良い機会だからです。
また、お気に入りのNPCや場所のエピローグも記述しておくといいでしょう。
以上で終わりです! プレイしてくれたみんなに感謝しつつ、時間があれば少しばかり感想戦をしましょう。
《危機打開》における7-9の結果は、裁定が非常に大変です。ここでは、そうした結果を楽しくするためのガイダンスをいくつか紹介します。
10+:PCは危機を回避する。
7-9:PCは危機を回避するが、GMがムーヴを行う。
6-:GMがムーヴを行う。
例えば、シーフのオマーが都市警備隊から逃げていて、捕まる「危機」を打開する上で7-9の目を出したとします。 GMである私はオマールが逃げのびたことにするつもりですが、同時に以下も起こせます。
より悪い結果を説明し、プレイヤーに危険を冒すか、それともより悪い結果を甘受するか選ぶよう求めることで、単なる良くない結果を厳しい決断のチャンスに仕立てることができます。こうすることで、このムーヴの厳しい内容はいくらか穏やかに感じられるでしょう。プレイヤーに運命を押し付けるのではなく、その運命の物語を編む手助けをするのです。
他のキャラクターが不利な立場に陥っていませんか? 7-9の悪影響を受けてしまうのは彼らかもしれません!
例えば、パラディンのサンギヌスが近くのクロコダイル・フォークらと戦っている間に、オマールはパニックになったマンモスに飛び乗って落ち着かせようとしているとします。オマールにとっての危機とは、マンモスが暴れ続けることです。より悪い結果としては、オマールはマンモスを静めたものの、その前にマンモスがサンギヌスを吹っ飛ばしてしまう、というものが考えられるでしょう。
オマールが隔離地区に忍び込んで、病死者の家を物色しているとします。この場合の危機とは、オマールが疫病に感染することです。7-9の結果で、オマールは病気になりませんでした...が、彼は保菌者になり、彼の友人のバグがしばらくしてそれを発症してしまいます。
オマールが殺戮の門を閉じるためにヨグ=ソトースの聖歌を音読しているとします(危険:門は開いたまま)、一方、ウィザードのゼノは一部の狂信者の気を引くために〈ミラー・イメージ〉の呪文を唱えます。殺戮の門は閉じられましたが、異常なエネルギーの流れにより、ゼノの鏡像は永久に独立した逆属性のゼノとなります。
私が時々使う秘技ですが、《危機打開》ムーヴで振る直前に、別のキャラクターに注目のカットを切り替えることで、成否あいまった結果に頭をひねる上で役立つ、その状況のいろいろなアングルから見た景色を捉えることができます。
例えば、シーフのオマールが屋上から屋上へ飛び移り(即時の危機)、警備員から逃れようとしながら(シーンの危機)、同時に正体を隠したままにするとしましょう
(キャンペーンの危機)。これは1回の行動に3つの危機があるということです。このうちの1つが《危機打開》で指定される危機でなければなりません。
仮に、指定される危機は「転落すること」だとしましょう。成否あいまった結果による事態の混迷として、彼は跳躍を成功させて逃げたものの、追っ手にはっきりと姿を確認され、身元が暴かれた、という展開が考えられます。別の可能性としては、オマールは無事に跳躍を成功させたが、追っ手も同様に跳躍を成功させたので、追っ手から逃れるためには別の戦術を考えなければならないという展開があるでしょう。
あるいは、危機は「捕まること」だとしましょう。混成否あいまった結果によって、彼は追跡をまくことに成功しました。しかしそれは追跡者が屋根に気を取られている間に、転落して足首を捻挫したからです。あるいは、逃げたはいいが、身元がバレてしまうのです。
時々、PCが完全に手詰まりになってしまうことがあります。死が避けられないような最悪の場所に追い込まれてしまうのです。そんなとき、ただ殺してはいけません。代わりに、「私の一番好きな質問」を披露するのです。
この質問を使うたびに、私は大勝利を収めてきました。例として、私のお気に入りの武勇伝を一つ紹介しましょう。
エルフのPCが魔術の塔の地下に強力な魔法爆弾を仕掛けました。そして塔を探索中、彼は夢魔たちに追い詰められてしまいます。逃げ場のない彼は、爆弾を遠隔操作で爆発させますが、この爆発により塔は間違いなく崩壊します。
「よし、いったいどうやって生きのびたんだ?」と私は尋ねます。
「転生したんだ」と彼は言ってのけました。
このエルフ魔法使いは、ヒューマン嫌いの老いた偏屈者でした。そこで私はオー・ヘンリーばりのどんでん返しをくらわせたのです。
「修正なしで《危機打開》を振って」
「ミスしたら汚いヒューマンとして生まれ変わらせるぞ」 もちろん、彼は6ゾロを出しましたとも。数世紀後、エルフの助産婦の腕の中で目覚め、ヒューマン・キャラクターのプレイヤーでさえも高らかに拍手をしたものです。
『ダンジョン・ワールド』は"命中"ロール(《ハック・アンド・スラッシュ》や《射撃》)とヒット・ポイントがあるように見えるゲームなので、命中ロール、ミス、命中ロール、命中、ダメージ、命中ロール、ミス、命中ロール、ダメージ、敵は死んだ、という繰り返しの中で物語もクソもなくなってしまう、という古いスタイルに陥りやすいのです。これでは、退屈でつまらないゲームになってしまいます。
もし、このような事態が起こりそうだと感じたら、あなたがムーヴを行うたびにその場の状況を一変させましょう。プレイヤーに作戦を立てさせるのです。地図を描いて、機会について考えさせましょう。空想のパワーのすごさを見せつけてやるのです。
ファイターやパラディンが想像力を働かせずにモンスターを叩いているだけなら、彼らの顔に泥を塗ってやりましょう。卓の誰かが引き起こした絶好の機会を利用して、厳しいムーヴで相手を叩きのめすのです。転倒させ、どろどろに汚し、懐に飛びこみ、派手な剣や槍が役に立たないようにするのです。掴み技で武器を奪いましょう。危機に追い込み、どのように《危機打開》するかを述べさせるのです。
ウィザードとレンジャーは特に退屈なプレイになりがちです。彼らのムーヴを使えば、ただ座って安全な距離からターゲットを撃つことができます。そんなとき、《射撃》における7-9の結果は、絶対ではありませんが、この問題に対する素晴らしい治療法です。
バンバン撃つだけの連中を水に投げ入れ、弓の弦と呪文書を濡らしてしまいましょう。服に火をつけてやりましょう。飛行モンスターや跳躍する相手を増援に送り込みましょう。ファイターが防御に回った方がいいんじゃないかなと提案してやるのです。『ダンジョン・ワールド』では、《防御》ムーヴはとても有能です。私はチームワークを促進するようなメカニックが大好きですし、サッカーでもよく守られたストライカーは見ていて気持ちがいいものです。
a)ヒット・ポイントは【耐久力】に基づいて決まります。(D&Dのように)【耐久力】修正値ではありません。
b)【訳者により削除】
c)持っているすべての鎧の[アーマー]を合計すること。
d)第一レベルのウィザードは呪文書から呪文を3つ獲得します。そして呪文を2つまで準備しておけます。好きなだけ呪文をかけることはできますが、《呪文詠唱》で悪い目を出してしまうと、呪文を忘れてしまう可能性があります。
e)通常、ミスをしたり、属性にかなう行いをすることでXPを獲得しますが、このゲームでは気にしないでください。半分まで進んだら全員レベルアップしますので。
Gray Pawn、Morgan Stinson、Ross Cowman、Erich Lichnock、Philip LaRose、Jamie Fristrom、Jay Loomis、Victoria Garcia、その他ゲームオンデマンドで私がこれまでにプレイテストさせていただいた全ての方に。