基本ムーヴ

この章には、全てのプレイヤー・キャラクターが利用可能なムーヴが記されています。ここでのムーヴは、基本ムーヴ特殊ムーヴの、2つに分類されます。

基本ムーヴは冒険者の日々の生活に欠かせない行動です。戦闘、緊迫した話し合い、危険な場所などが取り上げられる状況を扱います。

特殊ムーヴの発生は、さほど頻繁ではありません。担当するのは、レベルの上昇、長い旅、冒険の合間の街への帰還といったことです。

あらゆるプレイヤー・キャラクターは、全ての基本および特殊ムーヴが使えます。加えて、各プレイヤー・キャラクターは、クラスに由来するムーヴを有することになります。それについては後ほど触れます。

この章において各ムーヴは、まずは名称、次にルール内容の順で紹介されます。ものによっては、ムーヴの使い方に関する軽めの考察と、プレイ時のムーヴの使用例が付記されています。


《ハックアンドスラッシュ》

近接戦闘で敵1体を攻撃するなら、ダイス・ロール+【STR】。*10+なら、ダメージを与え、反撃をよける。反撃に身をさらす代わりに、ダメージに+1d6することを選択してもよい。*7-9なら、ダメージを与えるも、反撃されてしまう。

《ハックアンドスラッシュ》は単純明快で、戦闘態勢にある敵への攻撃に用いられます。敵が攻撃への備えを欠いている場合、すなわちPCがそこにいることを知らないか、拘束を受け無力化されているなら、《ハックアンドスラッシュ》は起きません。状況に応じて、単にダメージを与えるか、対象を即座に殺害することになります。えげつないですね。

敵の反撃は、直接クリーチャーを用いて行使されるGMムーヴの形をとる可能性があります。ゴブリンは背後から攻撃してくるだけかもしれないし、静脈に毒針を突き刺してくるのかもしれません。人生は無情ですからね。

ここで注意してほしいのは、「攻撃」が意味するのは、他者に物理的な損害を引き起こす見込みのあるPCのアクションだということです。何インチもの分厚さを持つ金属の鱗、それも魔法的なエネルギーを溜め込んだ代物に覆われたドラゴンに、標準的な剣で攻撃を仕掛けるのは、戦車に向かって肉切り包丁を振り回すも同じです。負傷を与える見込みはないので、《ハックアンドスラッシュ》は適用されません。状況が変わりうることは、心に留めておきましょう。ドラゴンの柔らかい下腹を突き刺すことがかなう場所に身を置いている(そこに行き着けることを祈ろう)なら、傷を負わせ得るので、攻撃となるわけです。

このムーヴを引き起こすアクションが、理にかなう形で複数の標的に傷を与えるなら、ダイス・ロールを1回だけ行い、各標的にダメージを適用してください(標的はそれぞれ、自らのアーマーを用いる)。

引き起こしたアクション/周辺状況/使った武器によっては、攻撃は付加的な効果をもたらすかもしれません。攻撃が、他者を転倒させたり、拘束したり、大量の血を撒き散らすこともあるでしょう。

GM:さてジャール、君はよだれを垂らすゴブリンの群れに突っ込み、のっぴきならない。奴らは君を取り囲み、ナイフは抜き身だ。どうする?
ジャール:もううんざりだ! 一番手近なゴブリンにハンマーを叩き付ける。
GM:よし、それじゃ。明確に戦闘だから、《ハックアンドスラッシュ》だね。ダイス・ロール+【STR】で。
ジャール:11。いずれかを選べと書いてあるな。恐れは弱者の証。ゴブリンどもかかってこい!
GM:君は一番近くにいたゴブリンをハンマーで粉砕し、その勇気は骨の砕ける満足いく音で報いられるよ。それに加えて、ゴブリンの反撃でナイフ傷を受ける。4ダメージ食らっといて。どうする?

GM:ケイデウス、暗がりからなら、オーク戦士どもの機先を制することができるよ。
ケイデウス:飛び出すと、弧を描くように剣を振り下ろす! こんな感じで! うりゃぁ!
GM:ふむ、そうなるとは予想していないから、完全に油断しているところを襲われることになる。1体を切り裂いたよ。ダメージを振ってね。
ケイデウス:6ダメージ与える。
GM:そのオークは血の海に崩れ落ちる! 2体目のオークは体をこわばらせた後、恐ろしい牙を剥き出しにした笑みを君に向け、警告用の角笛をベルトからとるよ! どうする?

GM:バートルビー、君は、この地で最強の決闘人、堂々たるフィンバーの武器を取りあげて、剣を突きつけている。
バードルビー:裏切りはもう御免被るぜ、フィンバー! 彼を刺し貫く。
GM:ほうほう、いいよ。《ハックアンドスラッシュ》だから、ダイス・ロール+【STR】で。
バートルビー:そういう裁定なら仕方ない…7だね。
GM:よし、君は彼を刺し貫く。彼は自衛できないから…って、ちょっと待って。そうだね、彼はそもそも君と近接戦をしているわけじゃない。無力化されているわけだから、《ハックアンドスラッシュ》は取り消し。年貢の納め時だな。彼は音を立てて地面に倒れると、血を吐き出す。けれども護衛を呼び出す警報は轟いている。どうする?


《射撃》

射程内の敵1体を狙い撃つなら、ダイス・ロール+【DEX】。*10+なら、見事に命中して、ダメージを与える。*7-9なら、次から1つ選ぶこと(どれを選ぼうとも、ダメージを与える):

  • 命中させるために、移動して(GMの述べる)危険に身を置く必要がある
    • 命中したものの-1d6ダメージされてしまう
      • 何射かを要したので、[矢弾]を1減少させる

        《射撃》は、遠隔武器や投擲武器の、準備、照準、発射といった行動全般を扱います。遠隔武器を用いることの利点は、近接戦と比べて、攻撃側が反撃されにくいことです。もちろん矢弾を気にかけ、阻害されない一射となるよう注意する必要はあるのですが。

        7-9の「危険」は、幅広く解釈しましょう。足場の悪さかもしれないし、剣の届く範囲にまで突出していまうのかもしれません。最適な狙撃地点を明け渡すだけという可能性もあります。どのようなものであれ、ことは切迫しており、かつ必ずGMが「どうする?」と問いかけるような事態となります。危険は高い頻度で、回避に専念することを求めたり、《危機打開》を強いる結果を生むでしょう。

        もし[矢弾]を持たないものを投擲する(盾を投擲可能とするムーヴがあるなど)なら、矢弾の減少を選択することはできません。代わりに他の選択肢2つから選んでください。

        アランウェ:そうなると、僕はこの儀式の間の床に身体を伏せ、そのオークの目玉えぐり屋が台座の上で儀式の詠唱を続けているんだよね? テリアンが残りの群れを食い止めてくれているのだから、弓で狙いをつけて、詠唱しているオークに撃ち込もう。
        GM:素晴らしい判断だ。《射撃》じゃないかな。
        アランウェ:8だ、くそ。うーむ、矢もHPも残り少ないんだよな。できる範囲にとどめるのが吉だろう。ダメージをロールして、結果から1d6を差し引く、であってるよね? 3だ。少なくとも気を散らせるかな?
        GM:もちろん! 矢は目玉えぐり抜き屋の足に突き刺さり、痛みでうなり声を上げさせる。儀式を一時的に妨げることになるね。でも残念ながら、妨害は状況を悪化させただけかもしれない。台座の下にある大穴から恐るべき轟音が響き渡り、石造りの部屋が崩壊しはじめる。どうする?

        ハーレク:コボルドの群れにオーガ1体だって? おい、どうなってんだよ? うーん、そいつらがオレの方に来るなら、挨拶代わりに矢を撃ち込んだ方がよさそうだ。群れに一発撃ち込むよ。ダイス・ロールの結果は8。
        GM:ほう、どれにする? 危険? 矢弾?
        ハーレク:危険を選ぶよ。
        GM:それじゃ、コボルドが群がってくる中、近づくうちの1体になんとか命中させられる。そいつは倒れるが、そうするうちにも残りがにじり寄る。そこでオーガのことを忘れていたことに君は気づく。オーガは棍棒を君に叩き付け、12ダメージを食らうよ!
        ハーレク:12ダメージだって? 危険ってレベルじゃないだろ?
        GM:確かに、やり過ぎだった。わかった、君はまだ潰されてない。オーガは背後から君にのしかかるようにして、猛烈な勢いで棍棒をそちらの頭部に振り下ろす! どうする?


        《危機打開》

        目前の危難を顧みない行動をとるなら、あるいは災難が降りかかってくる場合は、対処方法を述べた上でダイス・ロールすること。それをなすのが…

        • …力任せの突破によってなら、+【STR】
          • …身をかわす、あるいは素早い行動によってなら、+【DEX】
            • …耐え抜くことによってなら、+【CON】
              • …機転を用いることなら、+【INT】
                • …精神の頑強さによるものなら、+【WIS】
                  • …魅力と社交儀礼の活用なら、+【CHA】

                    *10+なら、試みたことを成し遂げ、危難が牙を剥くことはない。*7-9なら、ヘマをするか、躊躇するか、たじろいでしまう。よくない成り行き、厳しい代償、厄介な選択をGMが提示するだろう。

                    迫り来る危険に対して何かするときは《危機打開》を行うことになります。あらゆる状況に対応するかのように見えるかもしれませんが、実はその通りです! 《危機打開》は、明らかにダイスを振るべきだと思われるのに、他に当てはまるムーヴがない、そんなときに適用されるのです。

                    《危機打開》以外のムーヴを危険を顧みずに行ったものの、そのムーヴには危険への対処が含まれていない場合、《危機打開》が使用されることになります。例えば、《ハックアンドスラッシュ》が想定しているのは戦闘における攻撃の応酬なので、通常の攻撃を逸脱する特別な危機が発生しない限り、戦っているモンスターに起因する《危機打開》を行う必要はありません。一方、壁に隠されたトラップから鋭いトゲトゲが何本も飛来する中で《ハックアンドスラッシュ》を試みる場合、トゲトゲはこの全く異なる危険にあたります。

                    ここでいう危険とは、精力、集中力、冷静さを対処に要するものを指します。このムーヴは通常GMにより求められるでしょう。GMは、ムーヴを行わせるに際して、どのような危険があるのかを述べます。「まずは《危機打開》する必要があるね。危機とは、君が走り抜けている氷に覆われた急勾配の床だ。転ばずに済めば、死霊術師の魔法に囚われる前に、扉にたどり着ける」といった具合です。

                    当てはまる能力値は、どのようなアクションをとったのか、そしてどんな行動がムーヴを引き起こしたのかによって決まります。つまり、【CHA】が得意というだけの理由で魅力的な微笑みを用いて、氷で覆われた急勾配の床に抗するための《危機打開》は行えないのです。うっとりするような微笑みは、氷で覆われた床に何ら影響を及ぼせないからです。一方、氷面を飛び越える大跳躍を行うから【STR】、注意深く足を運ぶから【DEX】などは有効です。結果を見据えてムーヴを行ってください。

                    GM:エモリー、峡谷の斜面を登っているときに、近くの岩棚にいたカルティストが、冷気の呪文を唱え、崖の斜面を氷で覆ってしまうのが見える! 登攀を続けようとするなら、転落しないように《危機打開》が要るね。
                    エモリー:ご無体な。こりゃ分が悪いな。歯を食いしばって、壁に爪を食い込ませ、片手で一気に登るよ。【CON】を使うんだけど、それでいい? でも、8しかなかった…
                    GM:ふーむ、そうだね、足場を得る唯一の手段として、短剣を活用し、最後の数フィートを自力で登り切るとかかな。タフなやつだからできるだろう。崖に突き立てちゃったんだから、引き抜くための時間をとらないと刺さったままだ。そして、怒り狂った魔術の使い手がすぐ側にいるわけだけど。
                    エモリー:拠点に帰れば新しい短剣はいくらでも手に入るさ。さあ、登攀とカルティストとに終止符を打つときがきたぞ。

                    GM:アハッハは3本目の逞しい腕を君に振り下ろす。節くれだった指には、折れた枝がしっかりと握られているね。どうする、ヴァレリア?
                    ヴァレリア:へ? つまり、こいつは戦いたがっているってこと? 受けて立とうじゃないか。《ハックアンドスラッシュ》で、剣を脚に叩き込むぜ。
                    GM:ちょっと待ってくれよ、チャンプ。ヤツは既に、君を不利な状況に置いてるんだ。勇んで争うことはできるけど、まずは《危機打開》しなきゃ棍棒を頭に食らうよ。
                    ヴァレリア:へっ、“赤の”ヴァレリアに敵うものか! 風に乗った木の葉のように横に飛び退いて、それから《ハックアンドスラッシュ》に取りかかるぞ。
                    GM:【DEX】で《危機打開》してね。どうかよろしく。

                    オクタヴィア:このオーガにはほんとうんざりだな。盾を捨てて、両手でハンマーを振るうよ。《ハックアンドスラッシュ》であってる?
                    GM:盾を捨てたんだよね? それはまずいな。オーガが殴りかかってくるので、《危機打開》しなきゃだめだよ。
                    オクタヴィア:マジで? それこそ《ハックアンドスラッシュ》じゃないのかな? 強打と武具の応酬なわけだし?
                    GM:あー、えーっと、その通りだね。コーヒーをもう一杯飲まなきゃ。《ハックアンドスラッシュ》で間違いないよ、ムーヴを行って!


                    《防御》

                    攻撃にさらされた、個人/アイテム/場所をかばうなら、ダイス・ロール+【CON】。*10+なら、〔ホールド3〕。*7-9なら、〔ホールド1〕。かばっている間に、自分か守護対象が攻撃されたなら、〔ホールド〕を消費することで、1点につき1つを、次から選択できる:

                    • 守護対象への攻撃1回を、自分へと向けさせる
                      • 攻撃の効果やダメージを半減させる
                        • 隙を生じさせ、味方1体に攻撃者に対する〔次回+1〕をもたらす
                          • こちらレベルに等しいダメージを、攻撃者に与える

                            何かを《防御》するというのは、すぐ近くに身を置いて対象への攻撃を防ぐことに集中すること、あるいは他者が対象に寄ってくるのを食い止めることを指します。その近くから離れるか、到来する攻撃に注意を向けるのをやめたなら、獲得した〔ホールド〕を全て失うことになります。

                            〔ホールド〕を消費できるのは、他者がムーヴを使ったPC、あるいはその守護対象に攻撃を行ったときのみです。選べる選択肢は、攻撃者ならびに攻撃の種類により制限されるかもしれません。具体的にいうなら、武器の届かないところにいる攻撃者に、ダメージを与えることはできないわけです。

                            攻撃とは、ムーヴを行使したPCが妨げることのできる、害を及ぼすアクションのことです。剣と矢はいうにおよばず、呪文、組み付き、突撃も、攻撃です。

                            攻撃がダメージを与えない場合に半減を選んだなら、攻撃者は望んだ成果をある程度は手にするものの、全てが思い通りにはならない、という扱いです。状況に即してどういった結果になるかを、ムーヴを行使したPLとGMが考え出すことになります。プレイヤー・キャラクターが珠玉オロ・ウートの瞳を守り、オークが台座からそれを強奪しようとしている情勢で、効果が半減されるなら、珠玉は床にたたき落とされるも、オークはまだ確保できないでいる、という結果を生むかもしれません。あるいは、オークが珠玉を握るも、PC側も同時に手を届かせるという状況も起こりえます。こうして両者は珠玉を巡って死闘を繰り広げることになるわけです。プレイヤーとGMが同意に至らなかった場合、効果の半減を選択することはできません。

                            もちろん己を防御することも選べます。それは要するに攻撃を諦めて、自らの身の安全確保に専念することを意味します。

                            GM:エイヴォン、君はネクロマンサーの亡霊を門の向こう側に押し戻すべく、呪文を編み始めたものの、ゾンビどもが襲いかかってくるよ。
                            ルクス:心配無用だ、やわやわのエイヴォン。ワシが助けてしんぜよう。エイヴォンが呪文を詠唱している間、ワシが守ると請け請け負おうぞ。ハンマーと盾を打ち鳴らし、「彼奴を止めんとするなら、ワシを突破せねばならんぞ」と叫ぶ。エイヴォンを《防御》せんとする。
                            GM:おー、情景が目に浮かぶかのようだ。ダイス・ロール+【CON】で。
                            ルクス:11だったので、〔ホールド3〕、あっておるか?
                            エイヴォン:使う準備をしておいた方がよさそうだ、ルクス。呪文詠唱のダイス・ロールは8。自らを危険な状況に置くことを選ぶよ。
                            GM:もちろんそうするだろうね。ゾンビどもは魔法的な揺らぎに引き寄せられ、攻撃しようとよろめきながら君に向かってくる。すぐに連中に群がられてしまうね。ゾンビどもはそこかしこにいるのだから! どうする?
                            エイヴォン:どうにかならない?
                            ルクス:引き受けよう。〔ホールド〕を1点消費して、攻撃を自分に向けさせるぞ。エイヴォンを脇に押しやると、内なる善なる力を叩き付けるように幾度も放出して、アンデッドの怒りをこっちに向けさせる。念を入れて、弧を描くようにハンマーを打ちつけ、ダメージを与えるぞ。さらに、〔ホールド〕を使い果たして、受けるダメージを半減しておくのがよさそうだな。神よ我らを守りたまえ!

                            GM:ところで、ハドリアヌス。君はドゥルガーがウィレムを治癒している間、彼女を守っていたわけだけど、ウィレムはずいぶん回復したよ。どうする?
                            ドゥルガー:前方に躍り出て、トログロダイトどもを追い払う!
                            ハドリアヌス:ここにいるクロコダイルみたいなのにかかっていきたいな。
                            GM:よし、ドゥルガー。トログどもは棍棒を手に、君に飛びかかってくるね。
                            ハドリアヌス:無駄だ、こっちはまだ〔ホールド〕を残している。消費することで、攻撃をこちらに向けさせるよ。
                            GM:現時点では、君たち2人は散開しているね。20ヤードも離れている状態で、どうやってそれを行うつもりなんだい? それに君、クロコダイルに攻撃した時点で、〔ホールド〕はなくなっているんだ。
                            ハドリアヌス:あー、もはや「守るために身を挺している」状態じゃないな。取り消すよ。ドゥルガー、自力でなんとかしてくれ!


                            《物言う知見》

                            蓄えたなにがしかの知識を検討してみるなら、ダイス・ロール+【INT】。*10+なら、置かれた状況にまつわる、興味深く有用な判断材料をGMが述べる。*7-9なら、GMが述べるのは興味深い事柄のみ。生かせるかはプレイヤー次第だ。「どうやってこのことを知ったの?」とGMが聞いてくるかもしれない。すぐさま、物語上の事実を述べよう。

                            なにかしらの知識や事実を求めて記憶を探ろうとするなら、《物言う知見》を行うことになります。オークの部族やウル・ダマールの塔について知っていることを、時間をとって思案してから、その知識を開陳するのです。

                            獲得される情報は、動物説話集/旅行案内/図書館を調べるのと同程度です。対象に関する事実を手に入れることになります。10+なら、その事実をすぐさま役立てる方法を、GMが明かすでしょう。7-9なら、事実のみとなります。

                            ミスの場合、GMのムーヴは考えるのにかけた時間に関するものとなる公算が高いでしょう。背後に回り込もうとしているゴブリンや、廊下を横切る仕掛け線を見落としてしまう可能性もあります。また、歓迎されざる事実を明かす絶好の機会です。

                            念のため、はっきりさせておきましょう。たとえGMがその場で考え出したことであっても、答えは例外なく事実となります。必ず嘘偽りなく話してください。

                            フェンファリル:床は幻影だったんだよな? クソノームどもめ。地獄に落ちやがれ。
                            GM:はっは、そうだね。君は暗い穴の中にいる。影に覆われた人間のような姿をした、まだら模様で目のない存在がおり、なにやら呟きながら君の方に移動してくる。
                            フェンファリル:呟く影かい? 何だこりゃ? こちらを攻撃しようとしてる?以前どこかで、こいつについて読んだことがあるに違いない。たぶん学院で。
                            GM:かもしれないね。《物言う知見》で!
                            フェンファリル:脳髄よ、我に知識を授けたまえ。出目は8。
                            GM:ふむふむ、もちろんこういった存在のことは知っているよ。名前は抜け落ちているけど、類似したクリーチャーのスケッチをはっきりと思い出せる。そいつは廊下にいて、何かの前に立ちはだかり見張る存在だった。通してもらうための秘訣があったはずなんだけど、ちゃんと思い出せない。どうしてかな?
                            フェンファリル:当然、その日は二日酔いだったんだ。ひどい劣等生だったからなあ。秘訣がある、といったね? うーむ…

                            ヴィトゥス:この金メッキの施された頭蓋骨について、《物言う知見》で10が出た。
                            GM:命ある都市、ディスの金属細工で間違いないと思うよ。
                            ヴィトゥス:…それで? 10だったのに!
                            GM:ああ、そうだった。えーっと、君はいくつかの象形文字をはっきり読み取るね。象形文字はイフリート、つまり火の呪文の記号なんだけど、普通のものとは違って、ある種の変換魔法になっている。頭蓋骨の中に呪文を放ったなら、火の呪文に変じるに違いない。
                            ヴィトゥス:火の〈マジックミサイル〉か。うひょう。


                            《事実の識別》

                            状況や個人を詳しく調べるなら、ダイス・ロール+【WIS】。*10+なら、次のリストから3項目、GMに質問すること。*7-9なら、1つ質問すること。どちらにせよ、答えを足がかりとする行動は、〔次回+1〕される。

                            • 最近ここで何が起きたの?
                              • まさに今、何が起きつつあるの?
                                • 何に警戒しておくべき?
                                  • 自分にとって、この場で役立つ/価値あるものは?
                                    • この場で真に主導権を握っているのは誰?
                                      • この場で見た目通りではないものは?

                                        《事実の識別》を行うには、対象を詳しく観察する必要があります。ここでいう観察とは、対象と何らかの形で接触するか、他者が触れ合うのを注視することを指します。頭を出入り口に突っ込むだけでは、部屋に対して《事実の識別》を行えません。手掛かりを求めて見渡すだけではなく、物品の下と周囲を見て回り、壁を軽く叩き、本棚の埃の描く妙な模様を調べなければなりません。そういった類の観察なのです。

                                        《事実の識別》とは細部に注意することのみならず、より大きな全体像を解き明かすことも含まれます。GMは常に、プレイヤー・キャラクターの体験することを誠実に描写するわけで、戦闘中に、コボルド・メイジが廊下の反対側の突き当たりから動かない、といってくるかもしれません。《事実の識別》を行うことで、その理由は明かされる可能性があります。コボルドの動作から、実は背後にある部屋からエネルギーを引き出しており、近づいてくることができない、などと判明するわけです。

                                        《物言う知見》と同様に、得られた回答は全て嘘偽りないものです。たとえ、GMがその場でひねり出したものであっても。いったんGMが返答したなら、それは確定されます。魔法もそれ以外もひっくるめた虚偽に隠された真実を見出すために、《事実の識別》が必要となるでしょう。

                                        別途ムーヴに指示されていない限り、プレイヤーが行えるのはリストにある質問のみとなります。プレイヤーがリストにない質問をしたなら、GMはやり直しを命じてもよいですし、リストにある同義と思われる質問に答えてもかまいません。

                                        当然ながら、質問によってはネガティブな返答を引き出してしまうかもしれませんが、問題ありません。もしも本当に、この場で役に立つ/価値あるものが存在しないなら、GMはその質問に「ないね、残念ながら」と返すでしょう。

                                        オマール:この部屋は油断ならないな。ちとあちこち突いてみるか。道具類を取り出して、周囲の物品をいじり始めるよ。燭台を引っこ抜き、ハンマーで壁を軽く叩く。いつもの要領で。
                                        GM:《事実の識別》?
                                        オマール:うむ、その通り。ありとあらゆる事実を見定めよう。12だった。「この場で見た目通りではないものは?」が知りたいな。
                                        GM:なるほど、部屋の北側の壁に空洞のあることが、すぐにわかるよ。積まれた石は新しく、漆喰も塗りたてといった感じだ。隠された小空間か、通路だろうね。
                                        オマール:もう1つ質問したいな。「誰がその空間を隠蔽したの?」
                                        GM:リストにはないから、「最近ここで何が起きたの?」ということにしておくよ。石造部を調べると、壁の所々が、実は緩やかに突き出ていることに気がつく。仕事は粗雑で、ゴブリンどもの仕業のように思える。とはいえ、こうやって突き出てくるのは、何かが内側から押した場合だけだろうね。
                                        オマール:つまり、ゴブリンどもが反対側から塞いだか、さもなければ脱出しようとする原因となった存在がそこにいるってことか。
                                        GM:その通り。


                                        《交渉》

                                        交渉材料のある状況で、GMのキャラクターを操るなら、ダイス・ロール+【CHA】。交渉材料とは、対象が必要とする/望む事柄を指す。*10+なら、こちらが要求に応じると約束すれば、対象は頼まれたことを行う。*7-9なら、対象は頼まれたことを行うものの、まずはちゃんとした約束の保証が求められる。

                                        《交渉》は、脅迫や駆け引きのような定番を含め、多岐にわたります。《交渉》を用いるのは、約束を取り交わす/脅すことによって、自分のために誰かに何かをさせるときだと、心得ておきましょう。交渉材料は、清濁いずれの形もとりうるものであり、その傾向は問われません。

                                        他者に丁寧な要求を行うだけでは《交渉》になりません。それは会話に過ぎないないのです。プレイヤー・キャラクターが「魔法の剣をいただけませんか?」と言い、テルリック卿が「無茶をおっしゃる。これは我が父が鍛造し、我が母が魔法を込めた、我が剣なれば」と主張すれば、それで終わりです。《交渉》するためには、交渉材料が必要です。交渉材料とは、あなたのめたに何かを行わせる交渉の場へと、対象を誘い出すもののことです。金貨袋や、顔面を殴りつけるといった類のものが当てはまります。何が交渉材料と見なされるかは、関係者と突きつけられる要求次第です。孤立したゴブリンを殺すぞと脅すなら、交渉材料を得ることになります。でも、群れの加勢を受けているゴブリンを殺すぞと脅したなら、そいつは戦った方がまだましと考えるかもしれません。

                                        7+の場合、対象はプレイヤー・キャラクターの交渉材料に関連する何事かを要求してきます。交渉材料が、相手の後ろに立ってナイフを研ぎながら、どれほど突き刺したいかを仄めかすことだったなら、対象は自分を解放するよう求めるでしょう。交渉材料が、相手を凌駕する宮廷内の地位なら、対象は有利な取り計らいを求めるかもしれません。

                                        対象の求めるものが何であれ、10+なら、はっきりと曖昧さを残さずに約束するだけで事足ります。7-9なら、それでは不十分です。プレイヤー・キャラクターの望むことを対象が行う前、つまり今すぐに、なんらかの保証を与える必要があります。例えば約束の内容が「こちらの望むこと行うなら、対象を狼どもから安全に守る」というものだったとしましょう。7-9を出した場合、プレイヤー・キャラクターが剥ぎたての狼の生皮を持って来て、約束が実行可能だと証明するまでは、対象は自分の側の仕事を果たさないということになります。実際に約束を守る必要がないことは、注目に値するでしょう。従うか従わないかは、つまり、プレイヤー次第というわけです。もちろん約束を破れば厄介ごとを招いてしまいます。人々は誓いを破るものに好感を抱くことはないし、将来的にも関わり合いと持とうとはしないからです。

                                        場合によっては、望むことを述べる際に、相手が合意するべき約束を盛り込んでしまうかもしれません。「去ね。さすれば命は取るまい」という具合に。その約束こそまさに対象の望んだものなのか、それとも対象が他の思惑を持っているのかは、交渉相手によります。対象は「わかった、命を取らないなら、立ち去ろう」(ロールが7-9なら保証を求める)というかもしれないし、「後をつけないと約束しろ」と返すかもしれません。

                                        リーナ:「ロード・ハイウン、私の保証人になってください。さもなければ、女王に謁見を許されないのです」
                                        GM:彼はあまり納得していない。君が彼の面目を失わせることになった場合、評判に大きな打撃を受けるかもしれないからだ。「リーナよ、なにゆえ貴殿を助けねばならんのだ?」
                                        リーナ:へえ。彼と話しながらも、上の空といった様子で、私たちが殺した暗殺者の持ってた印章指輪をもてあそんでみよう。王子を排除するために彼が雇った暗殺者のことね。しっかりと彼の目に映るようにするよ。
                                        GM:ほほう、いいよ。《交渉》でダイス・ロールして。
                                        リーナ:8。
                                        GM:「取り澄ましおってからに!」彼は冷酷さと怒りの入り交じった視線を向けてくる。「我らは共に、貴殿が我が雇い人を殺したことを承知しておるわけだ。我に指輪を渡し、沈黙を誓え。さすれば、汝が願い聞き届けよう」
                                        リーナ:彼に向けて放り投げるよ。この卑劣漢の醜聞を掘り起こすことは、いつだってできるわけだし。

                                        ペンドレル:“片目”がカードをしているのはここであってる? よし。番人に歩み寄って「そこのご同輩、ちょっと扉を開けて中に入れてはくれないかね?」と、できうる限り打ち解けた感じで粋に振る舞えば、応じてくれるんじゃないかな。《交渉》はダイス・ロール+【CHA】だよね?
                                        GM:そこまでとんとん拍子には運ばないね。君は望みを述べたにすぎない。右側にいた悪臭を放つ大柄な人物が、君の前へと歩み出て、「あいにくですが、サー、内輪のゲームなんです」と、退屈しきった口調で言う。仕事を嫌がり、どこか他の場所にいる自分を夢想している様子だ。《交渉》したいなら、動かすに足る材料が必要になるね。おそらくは賄賂かな?


                                        《手助け/妨害》

                                        他者を手助け/妨害するなら、ダイス・ロール+「対象との縁故」。*10+なら、対象のロールに+1か-2(使用者が選択)。*7-9なら、対象は修正を受けるものの、使用者も危険/しっぺ返し/代償にさらされる。

                                        プレイヤー2人が互いに対抗する形でダイス・ロールを行うのが適切とGMが思ったときは、防御側に攻撃側の妨害をさせるのがよいでしょう。これは必ずしも対象への妨害行動を意味しません。《交渉》において反論することから、《事実の識別》で見抜かれにくい狡猾な人物として振る舞うことまで、あらゆることが当てはまるでしょう。他のプレイヤーの成功を妨げることこそが、その目的です。

                                        《手助け/妨害》を行う人物に、どのようにして実行するのかを、必ず聞きましょう。それに答えられたなら、このムーヴが引き起こされます。GMをしているなら、ときどきは、妨害が発生しているのかを確認すべきです。プレイヤーは、互いを妨害しあっていることに、いつも気づくとは限らないのですから。

                                        手助けはもう少し明快です。プレイヤーがこのムーヴでどのように助けるのかを説明できて、それに無理がなかったなら、手助けのダイス・ロールを行わせてください。

                                        あるダイス・ロールに対して、何人が《手助け/妨害》しようとも、対象が受ける+1か-2は1回のみです。たとえ冒険者パーティ全員でオーガへの攻撃を援助したとしても、最終的に攻撃者が得るボーナスは+1にとどまります。

                                        GM:オズルーク、君は孤立して血塗れになりながら、怒れるヘルハウンドの群れを前にしている。君のうしろでは、レスシアの王子が縮こまり、恐怖のあまり涙を流している。
                                        オズルーク:その場に踏みとどまって盾を掲げよう。避け得ぬ破滅を前にしても、我は責務を果たし、幼君を守らん。
                                        アロンウィー:暗がりから飛び出して剣を抜くぞ! 「破滅すると決まったわけではないぞ、ドワーフよ!」と、彼の隣に立つ。彼が《防御》するのを助けたいな。「お主のことをよくは知らぬ。が、戦う様はしかと見たぞ、オズルーク。今日、共に命を落とすなら、兄弟として死のうぞ!」彼への縁故はないんだけど、なんとしてもやってみたいな。
                                        GM:実に感動的だ。いいよ、ダイス・ロール+0で。もし成功したなら、オズルークは《防御》の試みに+1される。さあ、やってみよう!


                                        特殊ムーヴ

                                        特殊ムーヴとは、発生頻度が低いか、限定的な状況で用いられるムーヴのことです。にもかかわらず、これらのムーヴはダンジョン・ワールドにおけるプレイヤー・キャラクターの行いに不可欠です。とりわけ、ダンジョン探索ならびに目まぐるしい冒険の、合間合間でのPCの行いには。

                                        《死に際》

                                        死に瀕したなら、死の王国の黒き門の向こうに待ち受けるものを垣間見ることになる(GMが描写する)。次にダイスをロールすること(2d6を素で振り何も加えない。そう、死は頑強さや冷静さを気にも留めないのだから)。*10+なら、死神の手を逃れる。困難な状況に置かれてはいるが、生存しているのだ。*7-9なら、死神の側から、取引が持ちかけられる。それを受け入れるなら一命を取り留め、拒むなら黒き門をくぐり待ち受ける運命へと進むことになる。*6-なら、死する運命が確定する。PCには死神の所有物であるしるしが刻まれ、遠からず黒き門をくぐることになる。時が至れば、GMがそのことを告げるだろう。

                                        《死に際》とは、生と死の狭間にたつ瞬間のことです。時は静止し、生者を我がものとして奪い去るべく死(死神)が姿を現します。黒き門をくぐららぬものたちでさえも、あちら側と、そこに待ち受けているものを、垣間見てしまいます。すなわち、かつての友と敵、生前の行いに対する報い、その他奇異なる光景などを。これを経験することで、誰しもが何かしらの変化を遂げます。逃れ得たものですら例外ではありません。

                                        このムーヴには3つの成り行きが備わってます。10+なら、キャラクターは何らかの意義ある形で死神の手を逃れます。逃れ得たものは、もはや死神の臣民にあらず、とするのがしきたりです。死神はこの理には抗えぬものの、受けた屈辱を忘れはしないでしょう。7-9なら、GMは重大な結果を伴う、重みのある選択を提示するはずです。対象となるキャラクターの振る舞いと、プレイを通して知った人物像とをGMは考え合わせてください。死は全てを知り、全てを見た上で、それに応じた契約ををあつらえます。これが取り引きであることをお忘れなく。困難極まる難題ながらも、ゲームを楽しく新しい方向へと導くようなものを提示してください。ミスなら、死は避け得ぬものとなります。最もわかりやすく手っ取り早いのは「死神は君を境界の向こう側、陰気な死の王国へと連れていく」と口にして、話を進めることです。けれども時に、死は遅れて訪れます。GMは「君には一週間の命の猶予がある」とか「死の冷たき手に掴まれているのを感じる…」と言って、差し当たってはそっとしておいてもよいのです。プレイヤーは、この時点で屈服して死を受け入れる可能性もありますが、それはそれでかまいません。通常手順に沿って、新たなキャラクターを作成させましょう。死に瀕した体験を忘れさせないことこそが肝要です。成否を問わず、これは意義ある時間であり、きっと変化に繋がるはずなのですから。

                                        GM:スパロウ、短剣の刃が君の腹に深々と刺さると、世界は徐々に薄れていく。君は死の黒き門の前に立っている。大勢のもがき苦しむ魂の中に、あの胸くそ悪い卑劣漢、ロード・ハイウンの姿を見出す。彼のなした悪行の一切合切が、とうとう報いとして降りかかっているかのような有様だ。彼は寒々とした深淵の向こうから君を見つける。彼が他ならぬ君の魂を喰らわんと欲していることに気づき、身の毛もよだつ思いをする。《死に際》を行ってね。
                                        スパロウ:きっついなあ。9です。
                                        GM:死神が君の前に現れる。その影に包まれた姿の周辺には、黒い布地が細くたなびき踊る。蒼白の手が君の顔に触れる。君は心の中で、かのものの声を聞く。「可憐なるスパロウ、ただちに我がもとに参るや? 汝が辿り来るは、己が刃にてここもとへと送り込んだ魂の川。故に、我は汝を慈しむ。汝を現世へと送り返すこともいとわぬほどに。されど帰還するなら、我に誓いを立てねばならぬ。影の中こそ汝が住まい、故に汝、影となるべし。永久に日の光を避けよ。さもなくば、ほどなくして我が再訪を受けることになろう。ちっぽけなる盗人よ、返答やいかに?」
                                        スパロウ:(ゴクリ)


                                        《過重》

                                        ムーヴを行う際、重いものを持ち運んでいるなら、動作が妨げられるかもしれない。携行している重量が:

                                        • 所持限界以下なら、ペナルティを被らずに済む
                                          • 所持限界+2以下なら、重荷を軽減するまでは〔継続-1〕される
                                            • 所持限界+2を越えているなら、「所持限界+2に収まるよう荷物を捨て、-1を受けてダイス・ロールを行う」か「自動失敗する」のどちらかを選択

                                              PCの所持限界はクラスと【STR】によって決定されます。より多くを運ぶことができれば、宝物を抱えてダンジョンから脱出しようとする際、間違いなく役立ちます。必要なものが確実に持ち込めるようになるだけでも、十分益があります。

                                              このムーヴが適用されるのは、個人が荷を負って動き回れるか、その状態でアクションを起こせるのか、を問われた場合のみです。巨石を背負うことは《過重》にあたりません。そんな状態では行動したり移動することがほとんどできないからです。物語上、無理なく実行されたムーヴにのみ影響を及ぼすのです。


                                              《キャンプ》

                                              野営して体を休めるなら、保存食を消費すること。危険な場所にいる場合は、見張り順も決めること。十分なXPがあれば、《レベルアップ》できる。曲がりなりにも連続して数時間眠れたなら、目を覚ますときに最大HPの半分に等しいダメージが回復する。

                                              《キャンプ》するなら通常、《呪文の準備》《神との語らい》などの他のことも行えます。あたり前の事ですが、夜ぐっすり眠ることもできます。足を止めて1時間以上休憩を入れたなら、おそらくは《キャンプ》したことになるでしょう。

                                              宿屋や家屋で一夜を過ごすことも《キャンプ》です。通常通りHPは回復するものの、保存食を減らすのは、食事の代金を払わなかったり、歓待されなかったかったりして、携帯食を食べた場合のみです。


                                              《見張り》

                                              見張りについているときに、キャンプに何かが近づいてくるなら、ダイス・ロール+【WIS】。*10+なら、キャンプの仲間を起こして、対応策がとれる。キャンプにいる全員は、〔次回+1〕される。*7-9なら、対処が少しばかり遅れてしまう。キャンプの仲間は目を覚ますものの、備えるだけの時間はなかった。仲間は武器と防具以外はほとんど何も身につけっれない。*ミスなら、野営の焚火の明かりの外に潜んでいた何かが、機先を制することになる。


                                              《危険に満ちた旅路》

                                              非友好的な地域を旅するときは、パーティ・メンバーから、先導役を1人、先行偵察役を1人、配給係を1人選ぶこと。役割を振られたキャラクターはおのおの、ダイス・ロール+【WIS】。*10+なら:

                                              • 配給係は消費される保存食の量を1軽減する
                                                • 先導役は目的地到達にかかる時間を短縮する(どれぐらいかはGMが述べる)
                                                  • 偵察役は迅速に厄介ごとを見つけ、その機先を制することができる

                                                    *7-9なら、各役目は自らの仕事を期待通りに行う。標準的な数の保存食が消費され、旅は予定通りの長さがかかり、機先を制されることも制することもない。

                                                    プレイヤー・キャラクター1人に複数の仕事を割り当てることはできません。十分な数のパーティ・メンバーがいないか、あえて仕事を割り当てないことにした場合、その仕事については、担当PCのプレイヤーが6を振ったものとして扱ってください。

                                                    ダンジョン・ワールドにおける距離は、保存食を尺度とします。1保存食は、1日で食べ尽くされる量の食料のことです。旅する距離が長かったり、旅程がゆっくりとしたものだったなら、より多くの保存食を要することになります。

                                                    《危険に満ちた旅路》は、2つの場所の間の全行程を扱います。旅を1日ずつダイス・ロールして、《キャンプ》を挟む、といった処理はとりません。旅程全体のために、1回だけダイス・ロールを行います。

                                                    どこに向かっているかがわかっているときのみ、このムーヴが適用されます。探検に出掛けることは、《危険に満ちた旅路》にあたりません。探検とは彷徨い歩いて、素晴らしき発見に胸を躍らせることです。《キャンプ》のたびに保存食を消費して進めれば、新たな発見に合わせて、GMが世界のディテールをもたらしてくれるでしょう。


                                                    《セッション終了》

                                                    セッションの終わりまできたなら、自分のPCの縁故のうち、(十分に掘り下げた、もはや適切ではない、またはその他の理由により)解消されたと思うものを1つを選択すること。その縁故の対象となっているキャラクターのプレイヤーに、同意を求めよう。相手が賛成してくれた場合、XPを獲得した上で、希望する相手に対する新たな縁故を1つ記入すること。

                                                    縁故が更新されたなら、自らの属性に目をやること。このセッションにおいて少なくとも1回、属性の記述を達成しているなら、XPを獲得する。次に参加プレイヤー・グループで以下の3つの質問に答えること:

                                                    • この世界に関する新しく重要な何かを知るに至ったか?
                                                      • 注目に値するモンスターや敵を打ち負かしたか?
                                                        • 素晴らしい宝物を戦利品としたのか?

                                                          達成項目ひとつごとに、全員が1XPを獲得する。


                                                          《レベルアップ》

                                                          (数時間あるいは数日の)休養を取るときに、XPがPCの現在のレベル+7以上あるなら、経験を省察し自らの技能に磨きをかけることができる。

                                                          • XPから「PCの現在のレベル+7」を差し引く。
                                                            • PCのレベルを1上昇させる。
                                                              • クラスの上級ムーヴを新たに1つ選択取得する。
                                                                • ウィザードなら、新たな呪文を1つ、呪文書に追加する。
                                                                  • 能力値を1つ選んで、1点上昇させる(これにより能力修正値が変更されるかもしれない)。耐久力が変更されたなら、最大HPと現在HPとを引き上げる。能力値が18を越えることはない。

                                                                    《酒宴》

                                                                    意気揚々と帰還し、100コインを使って大宴会を催すなら、ダイス・ロール+「追加投入したコイン100枚にごとに+1」。*10+なら、3つ選択。*7-9なら、1つ選択。*ミスなら、1つ選択できるものの、収拾不能な事態になる(いかにしてかはGMが述べるだろう)。

                                                                    • 役立つNPCと友人になる。
                                                                      • 好機をもたらすような噂話を耳にする。
                                                                        • 有用な情報を得る。
                                                                          • 面倒事に巻き込まれない/魅惑されない/欺かれない。

                                                                            《酒宴》を行うことができるのは、成功を収め帰還したときのみです。これによりどんちゃん騒ぎをする一団が冒険者たちの周囲に呼び寄せられます。このたびの稼ぎを祝うと称して集まってくるのです。とはいうものの、自分たちの冒険の成否を喧伝しなければ、一緒に浮かれ騒いでくれるものなど現れはしないでしょう。


                                                                            《補給》

                                                                            カネを持って買い物に行く場合、求めるものが自分たちのいる居住地にてすぐに入手できるなら、一般的な市価で購入することが可能だ。特別なもの、その場所で一般に流通しているより高品質なもの、超常的なもを求める場合は、ダイス・ロール+【CHA】。*10+なら、探しているものが適正価格で売られているのを見つける。*7-9なら、高額な支払いを要する、あるいは求めていたのに近いが少し異なるもので妥協しれなければならない。どのような選択肢があるのかは、GMが述べるだろう。


                                                                            《回復》

                                                                            快適かつ安全な状態でもっぱら休息するなら、1日休むことで、HPが全回復する。3日休んだなら、能力減退から1つ、選んだものが除去される。治癒師(魔法によるものでも別の手段でもよい)にかかるなら、2日休むごとに能力減退1つが治る。


                                                                            《徴募》

                                                                            手伝いを雇おうとしているという話を広めるなら、次の修正を加えてダイス・ロールすること:

                                                                            • 支払いを奮発すると言明するなら+1
                                                                              • 何をするつもりなのかを言明するなら+1
                                                                                • 発見物の分け前にあずかれると言明するなら+1
                                                                                  • この地域において名が売れているなら+1

                                                                                    *10+なら、多数の腕の立つ志願者の中からよりどりみどりとなる。誰を雇うかを選べて、連れていかないことによる不利益は生じない。*7-9なら、求めていたのにほど近い人物で妥協するか、さもなくば追い返すことになる。*ミスなら、影響力を有するも不適切な人物(例えば、向こう見ずな若者、行動が予測不能な人、正体を隠した敵)が、同伴したい旨を表明する。連れていってその結果を甘受するか、追い返すこと。志願者を追い返したなら、《徴募》に〔次回-1〕されてしまう。


                                                                                    《未解決の手配書》

                                                                                    以前に厄介ごとを起こしたことのある文明化された場所を再訪するなら、ダイス・ロール+【CHA】。*10+なら、プレイヤー・キャラクターの所業は噂話として広まっており、誰もが彼らのことを知っている。*7-9なら、10+の結果に加えて、面倒な事態を次から1つGMが選択する:

                                                                                    • 地元の保安隊にはPCを拘束するよう求める手配書が回っている。
                                                                                      • 誰かがPCたちの首に賞金をかけている。
                                                                                        • 行いの結果として、PCにとって大切な人物が困難な状況に置かれている。

                                                                                          このムーヴはPCがトラブルを引き起こした場所にのみ適用されるものであり、文明社会の庇の下に足を踏み入れるたびに用いるものではありません。他者の厄介ごとに巻き込まれたことがおおっぴらにされた場合でも、このムーヴが引き起こされます。

                                                                                          文明社会とは一般に、ヒューマン/エルフ/ドワーフ/ハーフリングの、村/街/都市を指しますが、比較的法を守るモンスター種族の集団にも適用されるかもしれません。例えば、オークやゴブリンなどです。PCたちがコミュニティに溶け込む形である場所に滞在したことがあるなら、そこは文明社会という扱いになります。


                                                                                          《増強》

                                                                                          余暇を、研究調査/瞑想/厳しい訓練にあてるなら、〔備え〕を得る。一週間以上準備した場合は、〔備え1〕を獲得。1ヶ月以上準備したなら、〔備え3〕を獲得する。準備が功を奏する場面では、〔備え〕を1点消費することで任意のロールに+1することができる。1回のダイス・ロールで消費可能な〔備え〕は1点のみだ。